1人1台のスマートフォンを持つのが当たり前の現代では、家計の中で通信費の占める割合が大きくなっています。子育て中は何かと物入りのため、少しでも通信費の節約を考える方は多くいます。しかし、節約のために格安SIMやキャリア変更を検討する中で、SIMカードとeSIMの選択肢に戸惑う人は多いのが現状です。
この記事では、SIMカードとeSIMの違いやメリット・デメリット、選び方などを解説します。記事を読めば、生活スタイルに合った選択ができ、通信費の節約が可能です。SIMカードとeSIMの選択は、使用目的や利用状況によって変わるため、自分に適した選択肢を見つけましょう。
SIMカードとeSIMどっちがいいのか違いを解説

SIMカードとeSIMは、どちらも端末を通信ネットワークに接続するために必要です。役割は同じですが、異なる特徴を持ち、使い方や設定方法に違いがあります。SIMカードとeSIMの違いについて、以下の項目に沿って解説します。
- 仕組み
- 見た目
- 使い方
- 手続き
それぞれの特徴を理解し、自分のニーズに合った方法を選択しましょう。
仕組み
SIMカードは物理的なカードで、スマートフォンに挿入する小さなチップです。加入者情報が記録されており、キャリアの変更時に新しいSIMカードに差し替えます。eSIMは電子的なSIMで、デバイスに内蔵されています。物理的な入れ替え操作は不要で、データを書き換えてキャリアを変更することが可能です。
eSIMでは、1台のスマートフォンに複数の回線情報を保存できます。カードの入れ替えをしなくても、スマートフォンの設定から簡単に回線を切り替えられる点が特徴です。
» SIMカードの取り出し方&注意点をわかりやすく解説!
» SIMカードの基礎知識と設定方法をわかりやすく解説!
見た目

SIMカードは約1cm四方のプラスチック製のカードで、eSIMは端末の内部に組み込まれた電子的なチップです。外観からはeSIMが搭載されているかわかりません。SIMカードは物理的に取り扱うため、紛失や破損のリスクがありますが、eSIMには紛失や破損の心配は不要です。
使い方
SIMカードは物理的なカードを端末に挿入して使用します。対応するスロットに正しく挿入することが重要です。eSIMは端末の設定メニューから追加・有効化します。QRコードのスキャンや、設定ファイルをダウンロードして回線につながります。SIMカードは交換できるため、複数の端末での使用が可能です。
eSIMは、プロファイルの追加や切り替えで複数の回線を管理します。バックアップや復元もできるため、データの保護に優れているのが特徴です。
手続き
SIMカードは店頭やオンラインで申し込みを行い、受け取ったカードを端末に挿入するだけで使用できます。オンラインでの申し込みでは、カードの配送に時間がかかるため、利用開始までに数日を要します。
eSIMの申し込みはオンラインが主流です。申し込み後に、受け取るQRコードやアクティベーションコードを使って、端末の設定から有効化を行います。eSIMは最短だと即日開通するため、急いでいる方におすすめです。
機種変更の場合は、SIMカードは新しい端末にカードを入れ替えますが、eSIMなら再設定だけで手続きが終わります。海外利用したい場合、eSIMは現地キャリアのQRコードをスキャンするだけで簡単に利用することが可能です。
» SIMカードの準備から入れ替え手順までの流れを徹底解説
SIMカードとeSIMのメリット

SIMカードとeSIMのメリットについて解説します。
SIMカードのメリット
物理的なカードであるSIMカードには、さまざまなメリットがあります。紛失や盗難時には、即座にSIMの無効化が可能です。カードの入れ替えのみで端末を切り替えられるため、中古端末やSIMフリー端末を容易に利用できます。通信事業者の変更も簡単です。
データのバックアップや復元が可能なため、端末の故障時にも安心です。複数のSIMカードを状況に応じて使い分けたり、通信障害時に交換で対応したりできます。
» SIMフリーとは?SIMフリースマホの選び方を解説
eSIMのメリット
eSIMは物理的なカードが不要なため、カードの紛失や破損のリスクがありません。利用スタイルに合わせて、複数のプランや事業者を同時利用できるので、料金プランの最適化が容易な点が大きなメリットです。契約や切り替え、海外プランの追加もオンラインで即時的にできるため、手間がかかりません。
eSIMのみに対応した端末にはSIMカードスロットがないので、小型化や薄型化、防水性能向上に貢献しています。プラスチック製のSIMカードを使わないため、環境に配慮された方法と言えます。リモートでのSIMプロファイル管理が可能で、通信事業者の切り替えも容易です。
SIMカードとeSIMのデメリット

SIMカードとeSIMのデメリットを解説します。
SIMカードのデメリット
SIMカードは物理的なカードがあるために、破損や紛失のリスクがあります。約1cm四方の小さなカードで紛失しやすいため、入れ替えの際は取り扱いに注意しましょう。海外で使用する場合は、現地でSIMカードを購入して入れ替える必要があります。
SIMカードスロットが占有されるので、デュアルSIM機能が制限される問題もあります。SIMカードはプラスチック製のため、廃棄時に環境への負荷がかかる点にも配慮が必要です。端末を紛失した際には、端末にロックがかかっていても、SIMカードを抜かれると他の端末で使われてしまうリスクがあります。
2段階認証でSMS認証を使っていると、SIMカードから認証コードを受信し不正ログインされる可能性があります。頻繁に端末を変更したり海外旅行をしたりする方にとって、手間や不便に感じる点がデメリットです。
» デュアルSIMのメリット・デメリットと活用方法を解説
eSIMのデメリット
eSIMに対応している端末は限られています。古い機種や一部の格安スマートフォンでは利用できません。端末によってはプロファイルの切り替えが複雑で、SIMカードの抜き差しよりも手間だと感じる方もいます。SIMカードを別の端末に入れ替えられないため、新しい端末への切り替えに手間取る可能性があります。
他にもデメリットとなる可能性がある点は以下のとおりです。
- 一部の国や地域での利用制限
- バックアップや復元の複雑化
- セキュリティ面での懸念
- 通信事業者変更の困難さ
- 初期設定の時間
SIMカードとeSIMの選び方

SIMカードとeSIMの選び方について、以下のケースに沿って解説します。
- 個人利用の場合
- ビジネスの場合
- 海外旅行の場合
- 使い分けたい場合
個人利用の場合
個人で利用する際は、利用目的や生活スタイルによってどちらが適するか異なります。利便性を重視するなら、eSIMがおすすめです。端末変更が簡単にできるため、新しいスマートフォンに買い替える際に便利です。コストを重視する場合も、eSIMの方が安価に済む傾向があります。
海外旅行が多い場合は、切り替えが容易なeSIMが便利です。複数回線を使いたい場合は、eSIMとSIMカードを併用したデュアルSIMが効果的です。データ通信のみを利用する場合はeSIM、通話機能を重視する場合はSIMカードが適しています。使用している端末がeSIMに対応しているかを確認しましょう。
今後eSIMの普及がさらに進むと予想されるため、eSIMの方が将来的には長く使い続けられると考えられます。
ビジネスの場合

ビジネスでは、複数端末の管理が容易で、業務効率が向上するeSIMがおすすめです。リモートSIMプロビジョニングにより、遠隔で柔軟な管理が可能です。従業員の端末設定や変更が簡単になり、IT管理者の負担が軽減されます。機密情報を扱う企業にとっては、盗難や紛失のリスクの低さも重視すべき点です。
コストの面からも、SIMカードの製造や物流、端末の小型化によるコストの削減に寄与します。グローバル展開を行う企業にとっては、海外拠点や出張先での通信設定が簡単になり、業務の効率化につながります。小型のIoT機器にも簡単に組み込めるため、新しいビジネスモデルの創出にも有用です。
プラスチック製のSIMカードは不要なので、サステナビリティの観点からも選択する価値があります。
海外旅行の場合
海外旅行ではeSIMの利用がおすすめです。短期滞在に適しており、手続きが容易で時間と手間を節約できます。海外旅行でeSIMを選択するメリットは、以下のとおりです。
- 出発前のセットアップにより到着後すぐに利用が可能
- 複数の国や地域を訪れる際に便利
- 紛失や盗難のリスクの低減
長期滞在の場合、SIMカードの方が経済的な場合もあります。SIMカードは現地での購入や交換が可能なため、現地でのサポートを受けやすい点がメリットです。対応端末が多く互換性が高いため、端末の選択肢が多くなります。eSIMを選ぶ際は、お使いのスマートフォンが対応しているか確認しましょう。
通信速度や安定性の差はほとんどありません。旅行の形態や滞在期間、訪問する国や地域の数によって、最適な選択肢が変わります。短期の海外旅行ではeSIMが便利ですが、長期滞在の場合はSIMカードも検討しましょう。
使い分けたい場合
SIMカードとeSIMをどう使い分けるかは、ライフスタイルや通信ニーズによって決まります。複数の回線を利用したい場合や、頻繁に国内外を移動する方には、eSIMがおすすめです。eSIMは物理的なカードが不要なため、海外に行く際に現地のプランを簡単に追加できます。
仕事用と私用で回線を分けたい場合も、eSIMなら1台のスマートフォンで複数の回線を管理できます。SIMカードとeSIMを使い分けると便利な状況は、以下のとおりです。
- デバイスごとの通信プラン
- メイン回線とサブ回線
- 緊急時のバックアップ回線
- 一時的な高速通信や大容量プラン
IoTデバイスや車載通信など特殊な用途がある場合は、SIMカードとeSIMの特性を考慮して選択しましょう。入れ替えが必要ならSIMカード、遠隔での管理が必要ならeSIMが適します。
SIMカードとeSIMの設定方法

SIMカードとeSIMの設定方法は異なりますが、どちらも初心者でも簡単に設定が可能です。それぞれの設定方法について解説します。
SIMカードの設定方法
SIMカードの設定方法は、以下の手順です。
- SIMカードをスマートフォンのSIMカードスロットに正しく挿入する
- スマートフォンの電源を入れる
- 自動的にネットワークに接続されるため、しばらく待つ
- スマートフォンを再起動する
手動での設定は「設定」→「モバイルデータ」→APN設定を入力します。モバイルデータをオンにし、インターネット接続を確認します。問題があれば、プロバイダのサポートに連絡してください。
eSIMの設定方法
eSIMの設定方法は、キャリアから発行されたeSIMのQRコード、またはアクティベーションコードを用意します。「設定」→「モバイルデータ通信」または「携帯通信会社」→「新しいプランを追加」または「eSIMを追加」を選択します。
QRコードはカメラでスキャン、手動での情報入力は画面の指示に従って入力しましょう。追加したプランを選択し、有効化します。スマートフォンを再起動し、設定を反映させれば完了です。デフォルトの回線とモバイルデータ通信で使用する回線を設定できます。
ただし、機種によって設定手順が異なる場合があります。使用している端末の取扱説明書を確認してください。
SIMカードとeSIMに関するよくある質問

SIMカードとeSIMに関して、よくある質問を以下にまとめました。
- SIMカードとeSIMは同時に使える?
- eSIMの再発行は可能?
- SIMカードからeSIMに移行する方法は?
SIMカードとeSIMは同時に使える?
SIMカードとeSIMを同時に使えるかは、スマートフォンの機種によって異なります。新しいスマートフォンでは、同時に利用できる機種が多くあります。iPhoneなら、XS以降のモデルで利用が可能です。Androidの場合はPixel 3以降、Samsung Galaxy S20以降などで利用ができます。
同時利用のメリットは、1台のスマートフォンで2つの電話番号やデータプランを管理できる点です。海外で現地のeSIMを追加しつつ自国の回線も維持したり、ビジネス用と個人用の回線を1台で使い分けたりできます。通信事業者によっては同時利用に制限があるため、契約内容を確認しましょう。
同時利用をすると、バッテリー消費が若干増加する可能性があります。端末の設定で通話やデータ通信の優先順位を設定できるので、用途に応じて使い分けましょう。
eSIMの再発行は可能?

eSIMの再発行は可能です。キャリアに申し込みましょう。再発行後は新しい端末で再度eSIMの設定を行い、設定後は古いeSIMプロファイルは使えなくなります。再発行にかかる時間は、数分〜数時間です。一部の事業者では、再発行に手数料がかかります。データやプランは、新しいeSIMに引き継がれます。
再発行の回数制限はありません。しかし、頻繁な再発行は不正防止のため、制限や審査が入る可能性があります。
SIMカードからeSIMに移行する方法は?
SIMカードからeSIMへの移行は、キャリアに切り替えの依頼をするとすぐにできます。切り替える際は、eSIM対応端末を用意しなければなりません。キャリアから提供されるQRコードまたはアクティベーションコードを入手したら、設定を行いましょう。
設定手順は以下のとおりです。
- 端末の設定画面でeSIMを追加する
- QRコードのスキャン、またはアクティベーションコードの入力をする
- eSIMプロファイルをダウンロードする
- 旧SIMカードを取り外す
- 必要に応じて端末を再起動する
通信接続に問題がなければ、移行は完了です。
まとめ

SIMカードとeSIMの違いや特徴について解説しました。それぞれメリットとデメリットがあるため、自分のニーズに合わせて選びましょう。個人利用やビジネス、海外旅行など、利用の目的に応じた選び方のポイントも参考にしてください。SIMカードとeSIMで設定方法は異なりますが、どちらも手順は簡単です。
SIMカードとeSIMの同時利用や再発行、移行も可能なので、状況に応じて柔軟に対応できます。用途や状況をよく考え、最適なSIMを選びましょう。
» 通信費削減!格安SIMへの乗り換えのメリット・デメリット